塩羊羹のノンカロリーデイズ

甘いもの食べたい。しばらくは高校受験、大学受験の現代文の勉強法を中心に書きます。

どのように現代文問題集を使うか 「トップレベル」問題集を買ってしまうプライドなんて捨ててしまえ!

 今回はどのように「現代文問題集を使うのか」という点について考えたいと思います。

 おそらく、あらゆる科目の参考書の中で、現代文が一番扱いに困るのではないでしょうか。多くの人は、とりあえず問題を解いて、とりあえず解説を読むけど、イマイチわからないまま、次の問題に行く人が多いと思います。そんな感じで一冊の参考書を軽く終わらして、次に何をやればいいのかよくわからなくなる。そして模試を受けても成績が良くならないといった経験は無いでしょうか。

 

1 自分のレベルを過大評価しない

 現代文で陥りがちなのは、自分のレベルを過大評価することです。参考書や塾の講座を選ぶ際に無意識に「上級篇」「難関大学受験生向け」「トップレベル」と名のついた参考書や講座を選択していないでしょうか。

 まずは正しい読み方を知らないと現代文を解けるようになりません。このことは、現状の偏差値とは関係ありません。偏差値が40だろうが60だろうが、そのままで東大や開成に合格するような天才を除いてまずは正しい読み方を知らないとどうしようもありません。そのために最適なのが

『船口のゼロから読み解く最強の現代文』 (大学受験Nシリーズ)

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です。このサイトでも何度も紹介しています。

 解説の分量がしっかりしており、視覚的に分かりやすい他、現代文の読み方の原則が簡単に最初にまとめられており、後の問題を解く時に参照しやすいようになっています。好みの範囲の問題ではありますが、これはこれでよい参考書かと思います。

 しかし、この参考書のデメリットは、一人の著者によるものであるからか、問題のレベルが低いということです。簡単すぎるとかいうことではなく、単純に論理的に読めないものが多く、初心者の演習には向かない問題を多く収録していることが問題です。それでも1-1、1-4、2-10の3問は比較的初心者の演習に向いており、おススメできます。特に、高校受験生はまずこの本から当たった方がいいと思います。とりあえず以上の3問の解説を理解できるようになれば、次に行っていいでしょう。

 その次に解くべき参考書は

山本洋三『大学入試問題選現代文中堅私立大学レベル(マーク式+記述式)』

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です。「中堅私立大学」というところに拒否感を示す受験生がいるかもしれません。しかし、船口先生の本をやった後に解くべきはこの本です。レベルも、大学受験だろうと高校受験だろうと関係ありません。

 そもそも、「上級篇」「トップレベル」「難関大学」といった名前のついた現代文問題集は、出てくる文章が難しすぎます。そして解説それ自体が現代文の問題を読んでいるような難しさです。

 そのため、まずやるべきは「文章自体は簡単だけど問題になると意外と解けない」問題です。それを大量に集めたのがまさにこの問題集です。例えば、この問題集の一番最初に出てくる問題は香山リカさんのわかりやすい文章です。特に、テレビのコメンテーターや大学生を例にとったこの文章は読んで全く分からない人はまずいないと思います。しかし、問題が意外と難しい。接続詞、対比といった現代文の「お作法」を押さえていなければ、まず解けないでしょう。

 

2 一冊の問題集を完璧にする

 次に陥りがちなのが「一冊全部解いてすぐ次の問題集に行く」です。これは、「上級篇」「トップレベル」「難関大学」といった名前のついた現代文問題集をつい買ってしまうことと関係しています。というのも、文章が超難しいし解説の文章もまた難しいことから、もう一度解く気にもならなければ、解説をじっくり読む気にはならなくなってしまうからです。

 しかし、上記の山本先生の参考書であれば、まだ2回目も読めます。ですから、この参考書を繰り返し解いて完璧に解けるようになりましょう。ここでいう「完璧」というのは

・その選択肢が正しい理由を説明できる

・他の選択肢が間違っている理由を説明できる

ことを説明できることを指します。この問題集は問題もよくできていて、大体の問題はその選択肢が正しい、間違っている理由をきちんと説明できます。船口先生の参考書を参考にしつつ、まずはこの問題集を完璧に解くことを目指しましょう。

 

 以上、どのように現代文問題集を使うかを説明しました。大事なのは「プライドを捨てる」ことです。これさえできれば、恐らく飛躍的に成績が伸びるでしょう。

現代文の勉強法 3 現代文とは何か 現代文の問題の難易度の見極め方と現代文の種類

  こんにちは。今日は久々に現代文の勉強法シリーズ第三弾をお届けします。

目次

  1. 受験現代文は人から教わればできるようになるのか
  2. 現代文の指導・授業を受ける前にどのような準備をするべきか
  3. 現代文とは何か 現代文の問題の難易度の見極め方と現代文の種類
  4. 要約指導の弊害 要約ができたら解けるようになるわけではない
  5. まとめ 現代文は読書ではない

 

 そもそも現代文というのはどんな科目なのでしょうか。わたしは、「難しい文章の論理構成を見抜く」科目だと考えています。もっとわかりやすく言えば、「魚(文章全体)から骨(重要な部分)だけ残す」科目と言えばよいでしょうか。3-4ページにも跨ぐ長い文章から重要な部分を正しく抜き取って理解する技術が現代文には求められています。

 受験で解くような評論、論説といった問題には大きく2つの特徴があります。

1 対比でわかりやすく

2 具体例でわかりやすく

です。

 対比というのは簡単です。「日本では~、一方ヨーロッパでは~」「近代以前は~、一方、近代では~」といった風に、2つの異なるものを比べて自分の言いたいことを言う手法です。

 対比を理解するには接続詞に注目します。「しかし」「一方」は特に注目です。その前後に対比の中身が来ます。

 よく対比が現代文で重要であるかのように言われます。無論その通りなのですが、「しかし」「一方」はあらゆる場面で出てくるため、それらの接続詞にばかり注目すると、どうでもいい情報に注目してしまい、誤った解答を作り出すことになりかねません。

 ですから、私はむしろ、具体例に着目した方が良いと考えています。具体例も、わかりやすく説明するために使われるものです。例えば、「日本のご飯は美味しい」だけではなく、「日本のご飯は美味しい。例えば、白米はあらゆるおかずに合う」と説明された方がイメージできますよね?評論、論説の著者も「わかりやすさ」が命ですから、よりよい具体例を見つけて文章にしているわけです。

 評論、具体例には必ずと言っていいほど、具体例が使われます。ここで重要なのは、具体例を用いて説明しなければならないことは、筆者にとってとても重要なことだということです。具体例を説明するには、多くの字数が必要です。ですから、具体例の前後に注目して、その具体例が何の具体例かを考えることが、本文の骨子の理解に役立つのです。ですから、長々と詳しく説明されている箇所があったら、その前後に着目しましょう。

 

 さて、現代文評論、論説でよく使われるのは対比と具体例であることを説明しました。本題に戻ると、現代文評論の「レベル」を判断する上で、大きく2つの指標があります。

1 論理構成 対比や具体例を正しく上手く用いているか

2 テーマの難しさ

 論理構成が上手い文章は読んでいて一目瞭然です。例えば、しかしといった接続詞を追っていけば、簡単に本文の趣旨がわかる文章のことです。しかし、入試で出てくるような文章はそんな良い文章ばかりではありません。どうでもよいところで「しかし」を使ってみたり、途中で話が大きく変わったり色々です。

  2つ目はテーマの難しさです。これは簡単で、例えば、大学受験現代文の難しいところでは「フロイトは~」とか「構造主義~」はなど、解説を読んだだけで頭がクラクラするようなものがたくさんあります。一方で、高校受験の簡単な問題では「教室」や「日本vsアメリカ」など、わかりやすいテーマが好まれます。

 以上2つの指標から、評論、論説のレベルは大きく4つあります。

1 論理構成がわかりやすく、テーマが簡単 高校受験レベル、低位大学受験レベル

2 論理構成がわかりにくいが、テーマが簡単 

3 論理構成がわかりやすく、テーマが難しい 難関高校受験、中堅大学受験レベル

4 論理構成がわかりにくく、テーマが難しい 難関大学受験レベル

 下手な参考書は以上のレベルを全部ごちゃまぜにして紹介します。

現代文の参考書の選び方 - 塩羊羹のノンカロリーデイズ

上の記事で紹介していますが、例えば船口先生の参考書では、4が多い印象です。しかし、入門段階で4を解いたところで、残念ながら論理的に文章を読む力というのはつきません。その点、下記の『入試現代文へのアクセス 基本編』は、1が多く、いずれ3が解けるように問題が良く練られています。

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 問題を解く際には、以上4つのうちどれに当たるか考えてみるといいかもしれません。特に入門段階では、2、4は下手に解かない方が身のためでしょう。

 

 

現代文の参考書の選び方

 こんにちは。今回は、現代文の参考書の選び方を解説したいと思います。

 現代文の参考書は大きい本屋に行けばたくさんあります。しかし、正直中身は玉石混交です。(この言葉の意味が分からないという人はまず語彙を勉強しましょう)今回のこの記事では、参考書の簡単な選び方を紹介したいと思います。

 対象としては、「とりあえず現代文の解き方を知りたい!」という人向けのものです。目安は大学受験生ですが、高校受験生が読んでも悪くないと思います。

 それでは、ハズレを引かない方法を教えましょう。

1 複数著者によるものである。

 これが滅茶苦茶重要です。大体現代文の参考書というのは、塾講師が書いています。そして、それぞれの塾講師にはそれぞれ独特の「現代文解法」があります。とりあえず参考書を買って偶々そのやり方が自分にフィットすればいいのですが、そんなことは稀でしょう。では、本屋で立ち読みしながら自分に合った「現代文解法」が書いてある本を選べばいい、ということになりますが、そんなことできたら、そもそもこのサイトなんて読んでいないはずです。つまり、一人の著者が書いた現代文参考書というのは、自分に合うか合わないかという点で「リスキー」なものになってしまうのです。

 また、もう一つ理由があって、それは練習問題の質の悪さです。一人の著者が書いたものの場合、解法はともかく、問題がクソという場合が散見されます。例えば、「論理構造を見抜け」と言ってる割にほとんど論理構造が無い問題を解かせる参考書です。つまり、「接続詞に注目しろ」と言っておきながら、あまり接続詞が重要でない問題ばかりが並んでいるといったものです。

 

2 解説に分量がしっかり割かれているもの

 また、自習に向いている参考書の条件として、解説の分厚さが重要になります。当たり前ですが、現代文に出てくる文章というのは基本的に難解で、イマイチ意味がわからないからこそ、解けない訳です。それを解説する部分が少なくて理解できる訳がありません。だからこそ、解説がしっかり書かれているかは非常に重要なわけです。

 しかし、この条件を満たしたからといって「良い参考書」という訳ではありませんというのも、上で紹介したように、一人の著者が書いたものの中には、解答が詳しいけどそもそも出鱈目な問題、解法のものがたくさんあるからです。しかし、そもそも解説がしっかりかかれていなければ、そもそも自分で勉強できないでしょう。

 

3 解説の一部が視覚的に分かりやすいもの

 これもまた、これを満たしたからといって「よい参考書」になる訳ではありません。しかし、最初の段階では、文章の構成をおおまかに図示してくれた方が理解が進むということがほとんどです。そのため、最初はそういったわかりやすいものが重要かと思います。

 

 以上を踏まえて、ここでは2つおすすめを紹介したいと思います。

1 入試現代文へのアクセス 基本編(河合塾シリーズ)

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 この参考書は、複数著者によるものであり、解説の分量がしっかりしており、視覚的に工夫されているという点で、極めて信頼できる現代文入門書です。文章の選び方や、問題の作り方を見ても、よくできています。

 しかし、「解説が難しい」「解説の分量が多すぎる」「解説が現代文」という欠点があります。ですから、本当に苦手な人にとってはなかなか難しいかもしれません。

 しかし、そういう人にとっても、何度も解説を読んで繰り返し説けば、確実に実力がつくことは間違いないでしょう。

 

船口のゼロから読み解く最強の現代文 (大学受験Nシリーズ)

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 この参考書は「現代文が苦手」「入試現代文へのアクセス 基本編の解説が意味わからない」という人向けです。解説の分量がしっかりしており、視覚的に分かりやすい他、現代文の読み方の原則が簡単に最初にまとめられており、後の問題を解く時に参照しやすいようになっています。好みの範囲の問題ではありますが、これはこれでよい参考書化と思います。

 しかし、この参考書のデメリットは、一人の著者によるものであるからか、問題のレベルが低いということです。簡単すぎるとかいうことではなく、単純に論理的に読めないものが多く、初心者の演習には向かない問題を多く収録していることが問題です。それでも1-1、1-4、2-10の3問は比較的初心者の演習に向いており、おススメできます。特に、高校受験生はまずこの本から当たった方がいいと思います。

 

 以上、現代文の参考書選びを解説しました。もし、気になる現代文参考書があったら、コメントに書いてくれれば、簡単にコメントします。

 ありがとうございました。

進路に悩む文系高校生へ 2英語はしっかり勉強しろ

 前回から進路に悩む文系高校生にアドバイスという形で書いています。

1 数学は切るな

2 英語はしっかり勉強しろ

3 幅広い本を読め

  前回は、近年文系学部でも数学を統計という形で使うという理由から「数学を切るな」と書きました。

 今回は2 英語はしっかり勉強しろ について書きます。

 この理由は簡単です。英語はあまりに社会で求められすぎているからです。

 就活をみれば、名のある企業は大体TOEICの点数を提出させます。そうでなくとも、1次試験のペーパーテストで、長文読解の問題が当たり前のように出てきます。

 それらの問題は、大学受験を通じて当たり前のように英語をやってきた人たちからすれば超簡単な問題ばかりです。一方で、高校で英語をあまりマジメにやらなかった人からすれば、問題数が多い中でなかなか解けないということになります。

 つまり、英語に関して言えば「いつやるの?今でしょ!」ということになります。(古い。。。)

 もっとマジメな理由でいえば、大学では英語を読むことがたくさん増えます。特に、政治学、経済学、心理学、社会学、西洋史学などは論文が当たり前のように英語で読まされます。これらの論文で使われる英語は、例えばシェークスピアのような難解な英語ではなく、高校英語で対応できるものばかりです。英単語の勉強で「なんでこんなの覚えなきゃならないんだ...」という単語がたくさんあるかと思いますが、大学生になればわかります。「全部使うじゃん」って。

次回は、3 幅広い本を読め、です。

 

進路に悩む文系高校生へ 1数学は切るな

 今回は、現代文の勉強法については筆を休めて進路に悩む文系高校生がどの学部に進んだらいいかを簡単にまとめて、その参考になる情報を紹介したいと思います。この記事はあくまで「それなりに勉強したい」と考えている人向けの情報です。

 まず、進路を考える前に、進路を潰さないために幾つか書いておきたいことがあります。それは

1 数学は切るな

2 英語はしっかり勉強しろ

3 幅広い本を読め、です。

 

1 数学は切るな

 恐らく、文系高校生の多くは「数学が苦手だから文系」という人がほとんどだと思います。そして、入試も数学が無くても合格できるようになっています。しかし、大学受験レベルの数学は、理系しかやらない部分も含めて、大学で必ず使います。

 例を出しましょう。例えば「社会学」は数学をたくさん使います。というのも、社会学の多くの論文は、「〇〇は××に影響を与えているのではないか」という問いから生まれます。問題は「影響」を論じることが非常に難しく、最近ではこの〇〇と××に関するデータをたくさん集めて、統計を用いて「影響」を「証明」することが増えています。

 このデータの処理に高校数学が使われます。つまり、高校数学ができなかったら卒業論文が書けないということです。無論、社会学には統計を使わないジャンルがありますが、その分書ける分野が狭まるということは覚えておくと良いでしょう。

 なお、数学を使う文系科目は、政治学、経済学、心理学が当てはまります。一方で、歴史学では近年統計を使うものも出てきていますが、まだまだ少数と言ってよいでしょう。法学は学部レベルではほとんど使われません。

 また、数学と関連してですが、統計を使う分野では、Rというプログラミング言語を頻繁に使います。大学の中には必修としてRのトレーニングをするところもあります。そのため、最低限プログラミングに慣れておくくらいのことはしておくと良いでしょう。

 次回は英語について書きます。

 

現代文の勉強法 2 現代文の指導・授業を受ける前にどのような準備をするべきか

 今日も現代文の勉強法について書きます。前回は、現代文は信頼できる先生に、みっちり読み方を「矯正」してもらうことが、現代文ができるようになる近道だということを書きました。

 今回は、2 現代文の指導・授業を受ける前にどのような準備をするべきか、について書きたいと思います。

  1. 受験現代文は人から教わればできるようになるのか
  2. 現代文の指導・授業を受ける前にどのような準備をするべきか
  3. 現代文とは何か 現代文の問題の難易度の見極め方と現代文の種類
  4. 要約指導の弊害 要約ができたら解けるようになるわけではない
  5. まとめ 現代文は読書ではない

 

 まず、現代文の授業の最大の目標は「正しい読み方を知る」です。答えだけ知ったところで意味が無いのはもちろんのこと、その場しのぎの解法をいくら学んだって意味がありません。ただし、正しい読み方を一般化しようとすると、使えない参考書のように「接続詞の前後に注目!」みたいなことにしかなりません。だから、この場合の正しい読み方というのは、「それぞれの先生の癖を含めた読み方」ということになります。つまり、実際に問題を解く際に「〇〇先生だったらどう読むか」を考えながら読むようになるというのが目標になります。

 しかし、そのためには必要なことがあります。それは、自分の読み方を相対化することです。つまり、自分の読み方以外の読み方もあるんだということを認識することです。そのためには、まず自分がどのように読んでいるのかを知る必要があります。

 現代文の指導を受ける前に、皆さんは予め問題を解くことになると思います。その時に、それぞれの問題について根拠を考えているでしょうか。根拠というのは、なぜその答えになるのか、ということです。その時に、「何となく」とか「本文にそう書いてあったから」となっていないでしょうか。現代文ができる人は必ず「根拠」がわかっています。当然、塾の先生も答えの「根拠」を用意しています。

 現代文の授業でやるべきことは、自分の「根拠」と先生の「根拠」を比べることです。その選択肢で合ってたかとか、部分点はもらえるかとかは、どうでもいいです。先生が注目したところと自分が注目したところが同じなのか違ったのか。違ったならどうして違ったのかを学ぶのが授業の役割です。

 そうであれば予習の目的は、「根拠」を先生に説明できるようにすることです。まずはこれができるように本文を読んで問題を解ければ、その時点でかなり読解力が上がると思います。

 当然、この時点で正しく読める必要はありません。どうして、本文のある部分に注目したのか、どうしてそこが答えに必要だと思ったのか、まずはそこを説明できるようにしましょう。次回は、3 現代文とは何か 現代文の問題の難易度の見極め方と現代文の種類 について考えたいと思います。

現代文の勉強法 1 受験現代文は人から教わればできるようになるのか 後半

 今回は、前回の続きです。以下の目次に沿って更新します。

  1. 受験現代文は人から教わればできるようになるのか
  2. 現代文の指導・授業を受ける前にどのような準備をするべきか
  3. 現代文とは何か 現代文の問題の難易度の見極め方と現代文の種類
  4. 要約指導の弊害 要約ができたら解けるようになるわけではない
  5. まとめ 現代文は読書ではない

 それでは、1 受験現代文は人から教わればできるようになるのか 後半です。

 結局、僕は現代文ができない人ができるようになるには一つしか方法はないと思います。それは、「一人の先生に読み方を徹底的に矯正してもらう」ことです。「矯正」という強い言い方をしましたが、本当に「矯正」してもらわなければダメです。「教わる」なんて生易しいものではありません。教わったところで正しく実行出来たら、現代文ほど簡単な科目はないと思います。そうではなくて、「矯正」です。

 おそらく日本に生まれ日本で育ったであろう、この読者の皆さんは、何となく日本語を読めるはずです。しかし、そのノリで現代文を解いたら死ぬことは、この読者であれば誰しも理解できるはずです。そして、一部の親がうざったらしく言うように、一般の新書や文庫を読んだからといって、現代文ができるようになるわけではありません。

 難しいのは、一度染みついた「何となく日本語を読む」という感覚を徹底的に見つめなおすことです。それは案外一人ではできません。そして、それを手伝ってくれる人は恐らく身の回りにはいません。だからこそ塾の出番なのだと思います。(わたしは家庭教師ですが)

 しかし、塾の授業を受けるだけでは「矯正」になりません。ここで必要なのは、塾の先生に自分の読み方や答案を徹底的に見てもらうことです。皆さんは、授業後に自分の答案のどこがダメなのかを聞きに行ってますか?そして、自分の読み方のどこがダメなのかを理解できていますか?「自分の答案のどこがダメなのか」から「自分の読み方のどこがダメなのか」まで理解できていないと、その次の問題演習に活用できません。結局、また同じような読み方をして、同じようなダメ答案を作ることになるのだと思います。

 以上、「受験現代文は人から教わればできるようになるのか」についてまとめました。結論は、できるようになります。しかし、「塾の先生にひたすら自分の答案を見せに行って、読み方を矯正してもらう」ことができたらの話です。 現代文はある種の「名人芸」です。ごく一部の天才と、「先生」とされる人の読み方を盗んで体得した人だけが恐らくできるようになります。先生も暇ではありません。生徒も他にたくさんいます。その中で如何に図々しく先生の時間を自分に使ってもらうかの勝負です。それができなければ家庭教師がいいのかもしれません。しかし、そんなことをしてくれる家庭教師がそういるとも思いません。

 今回の投稿は恐らく先生に恵まれなかったために、図々しく振舞わざるを得なかったわたしの個人的な感想かもしれません。良い先生に会い、良い指導を受けて現代文の成績を伸ばした人が読者にいたら、ぜひはてぶ等で現代文の勉強法をシェアして欲しいと思います。

 続きはまた後日書きます。次回は、「2 現代文の指導・授業を受ける前にどのような準備をするべきか」について書きたいと思います。これを読んでくれた方で感想があればコメントいただけると幸いです。